「狩猟免許って取って何になるの?」——周囲にそう聞かれた経験、ありませんか?日本の狩猟免許保持者は全国で約20万人。運転免許の保有者が約8,200万人であることを考えると、400人に1人しか持っていない超マイナー資格です。
でも、取ってみると「思った以上にメリットが多い」というのが正直な感想です。この記事では、狩猟免許を取得済みの筆者が、実際に感じたメリット・意外な活用法を本音で紹介します。
この記事でわかること
- 狩猟免許を持つことで得られる具体的なメリット5つ
- 有害鳥獣駆除で報酬がもらえる仕組み
- ジビエで食費が浮く現実的な話
- 「命をいただく」経験が変えてくれること
メリット①:400人に1人——希少な国家資格が手に入る
狩猟免許は環境省が管轄するれっきとした国家資格です。保有者数は全国で約20万人(令和4年度末時点)。日本の人口約1億2,500万人に対して、保有率はわずか0.16%です。
「珍しい資格を持っている」というだけで会話のネタになりますし、自己紹介や名刺代わりに使えるシーンは意外と多いです。実際、筆者も「狩猟免許を持っている」と話すと、100%の確率で「えっ、どうやって取るの?」と質問攻めにあいます。
ポイント:狩猟免許には「網猟」「わな猟」「第一種銃猟」「第二種銃猟」の4種類があります。種類の詳細や取得方法は狩猟免許の取り方完全ガイドで解説しています。難易度が気になる方は狩猟免許の難易度(他資格との比較つき)もどうぞ。
メリット②:有害鳥獣駆除で報酬がもらえる
狩猟免許の実用的なメリットとして大きいのが、有害鳥獣駆除への参加で報酬が得られることです。
各市町村は農作物被害を防ぐために「有害鳥獣捕獲」を実施しており、狩猟免許を持つハンターに依頼しています。報酬額は自治体や捕獲対象によって異なりますが、目安は以下のとおりです。
| 捕獲対象 | 1頭あたりの報酬目安 |
|---|---|
| シカ | 7,000〜15,000円 |
| イノシシ | 7,000〜15,000円 |
| ニホンザル | 8,000〜20,000円 |
| ツキノワグマ | 10,000〜30,000円 |
国の交付金(鳥獣被害防止総合対策交付金)に加え、自治体独自の上乗せがあるケースも多く、副業として成り立つ地域もあります。ただし、日当制(1日あたり数千円)の自治体もあるため、事前に地元の猟友会や市町村に確認しましょう。
有害鳥獣被害の詳しい仕組みは有害鳥獣被害とは?農作物への影響・駆除の仕組みを解説をご覧ください。
メリット③:ジビエ肉で食費が浮く&食の幅が広がる
自分で捕獲した鹿や猪の肉を持ち帰れば、食費の節約につながります。スーパーでは買えない新鮮なジビエ肉を自宅で楽しめるのは、ハンターだけの特権です。
もちろん「食費のために狩猟する」というより、「捕れた獲物をおいしくいただく」という順番が自然です。鹿肉のローストや猪肉の鍋を知人に振る舞うと、ものすごく喜ばれます。筆者の知り合いにジビエ料理店を営む方がいますが、「ジビエは下処理さえ正しくやれば、牛肉にも劣らない」と断言しています。
ポイント:自家消費する場合も衛生管理は大切です。まずはジビエの基礎をジビエとは?種類・味・料理法の完全解説で押さえておきましょう。
メリット④:農作物被害の現場で「社会貢献」ができる
日本の野生鳥獣による農作物被害額は、年間約156億円(令和4年度、農林水産省発表)。シカとイノシシだけで被害の約7割を占めます。
一方、ハンターの数はピーク時(1975年)の約52万人から20万人へと大幅に減少。高齢化も進み、60歳以上が半数を超えています。つまり、「狩猟免許を取る」こと自体が、すでに社会貢献なのです。
特に地方では、農家がハンターの到着を心待ちにしているケースが少なくありません。「ありがとう」と直接感謝される経験は、都市部の仕事ではなかなか味わえないものです。
注意:有害鳥獣駆除に参加するには、狩猟免許に加えて市町村からの「捕獲許可」や猟友会への登録が必要です。免許を取ったらすぐに駆除に参加できるわけではありません。
メリット⑤:「命をいただく」経験で価値観が変わる
これは数字で測れないメリットですが、多くのハンターが口を揃えて言うことです。
狩猟には「止め刺し」という工程があります。わなにかかった動物に最後の一撃を加え、命を絶つ行為です。正直に言えば、最初は誰でも心が揺れます。しかし、その経験を経ることで「スーパーに並ぶ肉も、誰かが同じことをしてくれている」という当たり前の事実を、頭ではなく体で理解できるようになります。
「命をいただく」ことのリアルを知ると、食べ残しが減り、食材への感謝が自然と生まれる。筆者自身、狩猟免許を取得してからスーパーの精肉コーナーを見る目が変わりました。これは狩猟をしなければ得られなかった視点です。
よくある質問(FAQ)
Q. 狩猟免許を取るのにいくらかかる?
試験の申請手数料は5,200円(全種共通)。事前の初心者講習会費が約1万円前後で、合計1.5〜2万円程度が目安です。詳しくは狩猟免許の取り方完全ガイドをご覧ください。
Q. 狩猟免許は就職・転職に有利になる?
一般企業の就職には直接有利になりにくいですが、農業法人・林業・自治体の有害鳥獣対策部門では歓迎されるケースがあります。また、アウトドア関連企業ではユニークな経歴としてプラスに働くこともあります。
Q. 女性や都市部在住でもメリットはある?
あります。近年は女性ハンター(通称「狩りガール」)が増加傾向で、狩猟イベントや講習会でのコミュニティも広がっています。都市部在住でも、猟期に地方へ遠征する「週末ハンター」スタイルで活動している方は多いです。
まとめ
狩猟免許を取得するメリットをまとめます。
- 希少な国家資格(保有者は全国約20万人・0.16%)が手に入る
- 有害鳥獣駆除で報酬を得られる(1頭あたり7,000〜30,000円)
- ジビエ肉で食費が浮き、食の楽しみが広がる
- 農作物被害の深刻な地域で社会貢献ができる
- 「命をいただく」経験を通じて価値観が変わる
「興味はあるけど、まだ踏み切れない」という方は、まず初心者講習会に参加してみるのがおすすめです。講習を受けるだけなら費用も低く、現役ハンターの話を直接聞けるので、自分に向いているかどうかを判断できます。銃猟に興味がある方は猟銃等講習会の体験レポートも参考になります。「熊を獲れるようになりたい」という方は熊ハンターまでのロードマップもぜひご覧ください。
この記事を書いた人
千葉県在住。狩猟免許(第一種銃猟)取得済み。現在実猟に向けて準備中。免許取得の勉強・試験の実体験をもとに、これから狩猟を始めたい人が迷わないよう情報を発信しています。
※ 本記事の制度情報は2026年5月時点のものです。最新情報は各都道府県の担当窓口をご確認ください。
