「わな猟免許を取ったけど、次に何を買えばいいかわからない」「そもそもわな猟ってどこからどう始めるの?」——そんな疑問を持つ方に向けた記事です。
この記事では、わな猟の始め方を「免許取得後〜初猟まで」のステップ順に解説します。最低限必要な道具・費用感・猟場の確保・注意点まで、初心者が迷わないようにまとめました。
わな猟の年間スケジュール
わな猟には「猟期」があり、11月15日〜2月15日が原則の猟期です(北海道は別途設定)。猟期前に準備を終えておくことが重要です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 6〜8月 | 免許試験・猟友会入会申請 |
| 9〜10月 | 狩猟者登録・道具の準備・猟場の下見 |
| 11月〜2月 | 猟期(毎日または週数回の見回り) |
| 3〜5月 | 道具のメンテナンス・有害鳥獣駆除への参加(任意) |
ポイント:猟期外でも、市町村や農家から依頼を受けた有害鳥獣駆除には参加できます。駆除は猟期・猟期外を問わず実施されるため、免許取得後は猟友会経由で声がかかることもあります。
猟友会入会と狩猟者登録
わな猟を始めるには免許のほかに、猟友会入会と狩猟者登録の2つが実質的に必要です。
猟友会入会
法律上の義務ではありませんが、猟友会を通じて「狩猟者賠償責任保険」に加入するのが一般的です。罠にかかった動物が人に被害を与えた場合などの賠償リスクに備えるもので、実質的に必須と考えてください。入会費・年会費は都道府県・支部によって異なりますが、合計1〜3万円が目安です。
狩猟者登録
猟をする都道府県ごとに、猟期前に登録が必要です。登録料はわな猟の場合、都道府県により2,900〜5,000円程度が多いです。複数の都道府県で猟をする場合はそれぞれ登録が必要です。
最低限必要な道具と費用
わな猟は銃猟と違って銃・弾が不要なぶん、初期費用が抑えられます。ただし罠を複数本用意する必要があるため、まとまった費用がかかります。
くくり罠(最重要)
わな猟の主役です。地面に埋めたワイヤーの輪に動物の足が入るとくくりが締まる仕組みで、イノシシ・シカの捕獲に使います。
なお罠は買って終わりではなく、捕獲のたびにワイヤー交換が必要になる消耗品です。運用後の維持費はくくり罠の消耗品と年間コストで試算しています。
| アイテム | 目安費用 | 補足 |
|---|---|---|
| くくり罠(1本) | 1,500〜4,000円 | まず10〜30本が目安 |
| くくり罠セット(30本) | 3〜9万円程度 | ロストしても補充できる数を |
| 罠刻印・名前タグ | 3,000〜5,000円 | 法律上全罠に設置義務あり |
注意:くくり罠には法定基準があります。ワイヤーの直径・輪の直径(原則12cm以下)・踏み板など規格が決まっています。購入時は「狩猟用」として販売されているものを選んでください。自作する場合は基準を必ず確認してください。
具体的な製品はくくり罠おすすめ完成品TOP3でまとめています。
その他の必要な道具
| 道具 | 目安費用 | 用途 |
|---|---|---|
| ワイヤーカッター | 2,000〜5,000円 | 罠のワイヤー切断・調整 |
| スコップ・鍬(くわ) | 1,000〜3,000円 | 罠を埋める穴掘り |
| 土のう袋・落ち葉 | 数百円〜 | 罠の偽装(動物に気づかれないよう) |
| ハンマー・杭 | 1,000〜2,000円 | 罠の固定用 |
| 止め刺し用の槍・ナイフ | 3,000〜1万円程度 | 捕獲した動物の止め刺し(法的に必須) |
| GPS・スマートフォン | — | 罠の設置位置の記録(山の中で必須) |
| 長靴・作業手袋 | 3,000〜8,000円 | 山の中の見回り用 |
装備全体の初期費用は最低5〜10万円が目安です。猟友会の先輩から罠を譲ってもらえる場合は大幅に節約できます。装備全般については狩猟の持ち物・装備一覧も参考にしてください。
猟場の確保と下見
罠を設置できる場所には制限があります。以下を必ず確認してください。
- 土地所有者の許可:山林を所有する個人・自治体・林野庁などの許可が必要。農家から直接依頼を受けて罠を置くケースも多い
- 禁止区域でないこと:国立公園・鳥獣保護区・休猟区は原則禁止
- 人が立ち入らない場所:登山道・林道・畑の中などは危険なので避ける
猟場は猟友会の先輩に紹介してもらうのが最も手っ取り早いルートです。農家との繋がりを作ることで「畑を荒らされているから罠を置いてほしい」という依頼が来るようになります。
罠の設置・回収のルール
設置場所に標識を立てる(法律上の義務)
罠を設置した場所には、設置者の住所・氏名・連絡先を書いた標識を立てる義務があります(鳥獣保護管理法第38条)。標識なしで設置すると法律違反になります。
毎日または1日おきに見回る
くくり罠は、かかった動物が苦しまないようできるだけ頻繁に見回るのがマナーです。法律上は「適切な管理」が求められています。見回りが困難な距離に設置するのは避けてください。
注意:猟期が終わったら必ず罠を回収・撤去してください。放置は違法です。また、猟期外に罠をかけたままにして動物がかかると密猟になります。
捕獲後の処理(止め刺し・解体)
わな猟最大の壁がここです。くくり罠にかかったイノシシ・シカを安全に止め刺し(とどめを刺す)し、血抜き・解体する必要があります。
- 止め刺し:槍や専用ナイフで行います。暴れる大型獣は非常に危険なため、最初は必ず先輩と一緒に行動してください
- 血抜き:捕獲直後に心臓付近を刺して血を抜きます。ジビエの品質を保つために重要
- 解体・搬出:山の中で解体してから持ち出すか、丸ごと軽トラで運び出すかは状況次第
ジビエとして活用したい場合は、最寄りの食肉処理施設(ジビエ処理施設)に持ち込む選択肢もあります。ジビエの活用についてはジビエとは?種類・料理法を初心者向けに解説もご参照ください。
よくある質問(FAQ)
Q. わな猟だけで生活費を稼げますか?
趣味・副業としては成立しますが、猟だけで生計を立てるのは難しいのが現実です。ただし市町村から有害鳥獣の捕獲報奨金(イノシシ1頭数千〜1万円程度)が出る地域もあるため、地元の農家との繋がりが収入に直結します。
Q. 一人でわな猟をやっても大丈夫?
くくり罠の設置・回収は一人でできますが、止め刺しは最初は必ず先輩ハンターと一緒に行うべきです。100kg超えのイノシシは非常に危険で、単独での対処は経験者でも慎重を要します。猟友会に入って先輩と行動するのが安全面でも技術習得面でも最善です。
Q. わな猟免許はどこで取れますか?
住所地の都道府県で申請・受験します。試験は年1〜数回実施されます。詳しくはわな猟免許の取り方完全ガイドをご覧ください。
まとめ
- わな猟の猟期は11月15日〜2月15日。猟期前(9〜10月)に道具・登録を済ませる
- 猟友会入会(賠償保険加入)と狩猟者登録が実質必須
- 道具の初期費用は最低5〜10万円(くくり罠30本分+付属品)
- 罠の設置には土地所有者の許可・標識の設置が義務。猟期外は必ず撤去
- 止め刺しは最初は必ず先輩と。猟友会のネットワークを最大限活用する
わな猟は「山に罠を仕掛けて見回る」シンプルなサイクルが魅力です。まず猟友会に連絡して、先輩ハンターと一緒に動き始めましょう。
参考・引用元
※ 情報は執筆時点(2026年6月)のものです。都道府県ごとに細則が異なります。猟を始める前に猟友会や担当窓口に確認してください。
この記事を書いた人
千葉県在住。狩猟免許(第一種銃猟)取得済み。現在実猟に向けて準備中。免許取得の勉強・試験の実体験をもとに、これから狩猟を始めたい人が迷わないよう情報を発信しています。
