2026年7月4日、長野市の山林で猟友会メンバーがクマの駆除中に撃った弾が跳弾し、同行していた81歳の男性の左肩に当たった。命に別状はないとのこと。

このニュースを見て、正直に思ったことを書きます。

跳弾事故は防げたはずだし、でもこの構造を放置し続ける限り、また起きる。

跳弾ってなに?

まず「跳弾」という言葉に馴染みのない人向けに簡単に説明します。

跳弾とは、弾が地面や岩などの硬い表面に当たって、予測できない方向に跳ね返る現象のことです。

浅い角度で着弾するほど、そして弾頭が硬く高速であるほど起きやすい。映画みたいに「バン!」と一直線に飛ぶだけじゃなくて、当たった先で変な方向に飛んでいくことがあるんです。

今回の状況を想像してみてください。くくりわなにかかったクマを、至近距離で撃つ。真下や斜め下に向かって撃つことになるから、弾が地面に当たって跳ね返るリスクは構造的に高い。これはクマの止め刺しという作業の性質上、避けにくい問題です。

正直な感想:防げた事故だと思う

跳弾のリスク自体は、銃を扱う人間なら誰でも知っています。猟銃等講習会でも習う基本中の基本。

だからこそ思う。同行者が十分に離れていれば、この事故は起きなかった。

止め刺しの現場で、射手の近くに人がいること自体がまずい。安全な距離を取る、射線の延長上に立たない。これは銃を撃つ前の確認事項であって、跳弾うんぬんの前の話です。

被害者は81歳、撃った方は55歳。年齢だけで何かを断言するつもりはないけど、加齢による判断力や注意力の変化は否定できない。猟友会の現場では70代・80代の方が現役で活動していることも珍しくなく、それ自体は素晴らしいことだけど、安全管理の面では正直リスクが上がる。

こんなことで人の人生が終わりかけるのは、もったいなさすぎる。ほんの少しの確認で防げたはずの事故です。

罠猟師と銃猟者の「連携」というリスク

ただ、個人の安全管理の問題だけで片付けていいのか?というと、そうじゃないと思っています。

ここには構造的な問題がある。

くくりわなでクマを捕獲するのは罠猟師。でも罠猟師は銃を持っていないことが多い。だからクマが罠にかかったら、外部から猟銃所持者を呼んで止め刺しをしてもらう。今回もおそらくそういう状況だったはず。

つまり、罠を仕掛ける人と、銃を撃つ人が別なんです。

普段一緒に猟をしているわけじゃない人同士が、クマという危険な獣を前にして、その場で連携しないといけない。お互いの動き方や立ち位置の確認が甘くなるのは、ある意味で構造上の必然です。

ポイント:罠猟免許と猟銃所持許可は別の資格。両方持っている人は少なく、駆除の現場では「その場限りのチーム」が組まれることが多い。

「クマを駆除しろ」と言いながら、事故が起きると銃が悪者になる

この手の事故が起きるたびに、「やっぱり銃は危険だ」という空気が流れます。

でもちょっと待ってほしい。

クマが人里に降りてきて農作物を荒らす。人が襲われる。「なんとかしろ」と行政に苦情が入る。行政は猟友会に駆除を依頼する。猟友会のメンバーが、自分の時間と体力を使って、危険なクマの前に立つ。

そして事故が起きると、「銃は危ないから規制を強化しろ」という声が上がる。

…矛盾してません?

猟銃の所持許可を取るのがどれだけ大変か、知っていますか。僕の体験でも書きましたが、申し込みから取得まで丸1年、費用は10万円以上かかります。その上でさらに規制を強化して、担い手をもっと減らしてどうするんですか。

ハンターが減れば、駆除できる人がいなくなる。その結果として有害鳥獣被害がさらに拡大したとき、誰が対処するんでしょうか。

じゃあ、誰が撃つの?

今回の事故は、あってはならない事故です。被害に遭った方の回復を心から願います。

でもこの事故を「だから銃は危ない」で終わらせてほしくない。

現場で撃つ人がいなくなったら、クマは誰が止めるのか。畑を荒らすイノシシは誰が追うのか。人里に出てきた獣を前にして、「危ないから誰もやるな」で済む話じゃない。

必要なのは、規制の強化じゃなくて、安全に駆除できる体制づくり。罠猟師と銃猟者の連携訓練、現場でのルール整備、そして若い担い手が参入しやすい環境。

人と動物が同じ山で生きていく以上、駆除は必要な仕事です。それを引き受けてくれる人たちが、安心して活動できる社会であってほしい。

少なくとも僕は、手続きの理不尽さに心が折れかけながらも猟銃の所持許可を取ろうとしている一人として、そう思っています。

この記事を書いた人

千葉県在住。狩猟免許(第一種銃猟)取得済み。現在実猟に向けて準備中。免許取得の勉強・試験の実体験をもとに、これから狩猟を始めたい人が迷わないよう情報を発信しています。

参考・引用元

※ 本記事は2026年7月時点の報道および筆者の見解に基づいています。事故の詳細は捜査中であり、今後情報が更新される可能性があります。

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