先日、ポストに届いた封筒を開けて固まった。
「診断書の有効期限が切れてます。再提出してください。」
…は?
いや待って。これ、こっちが遅れたんじゃないんですよ。警察の審査が遅くて、その間に有効期限(3ヶ月)が切れたんです。
こっちは言われた通りに書類を出して、言われた通りの診断書を取って、ちゃんと期限内に提出したのに。審査に時間がかかりすぎて、向こうの都合で期限切れ。で、もう一回取り直し。
もちろん自費で。
この瞬間、「あ、これ制度として壊れてるな」って確信しました。
診断書、何回取らせるの問題
猟銃の所持許可を取るプロセスで、「医師の診断書」ってやつが必要になります。
精神科医か、かかりつけ医に「この人は銃を持っても大丈夫ですよ」って書いてもらう書類。趣旨はわかる。銃を持つ人間のスクリーニングは大事。それは100%同意します。
でもね、これ、保険適用外なんですよ。
1回5,000円〜10,000円。病院によってバラバラ。しかも「うちは書けません」って断られることもある。対応してくれる病院を自分で探すところからスタート。
まあ1回ならいいですよ。安全のためだし。
でも実際に猟銃を持つまでに、僕は3回取ることになりました。
- 1回目:猟銃等講習会の申し込み時(※自治体による)
- 2回目:所持許可の申請時
- 3回目:↑の審査が遅くて有効期限切れ → 再提出
3回 × 約7,000円 = 約21,000円。診断書だけで。
しかも3回目は完全に制度側の都合です。こっちは何も悪くない。なのに自腹。
これ時間かかりすぎやろ!ってなりません?
申し込みから取得まで「丸一年」の現実
猟銃の所持許可って、申し込みから実際に銃を手にするまで、どれくらいかかると思いますか?
僕の場合、9月に申し込んで、取得見込みが翌年の9月。丸一年です。
内訳はこんな感じ。
- 猟銃等講習会の予約待ち:2〜3ヶ月
- 射撃教習の予約待ち:2〜3ヶ月
- 所持許可申請 → 審査:1〜2ヶ月
- 銃の購入・確認:1ヶ月
各ステップの間にも書類集めたり、警察署に行ったり、診断書取ったりで隙間が埋まっていく。しかも各ステップが全部直列。並行して進められない。前のステップが終わらないと次に進めない。
「興味あるんだけど、銃ってどれくらいで持てるの?」って聞かれて「1年」って答えると、大体の人が「え、マジで?」ってなる。マジです。
これ、猟銃所持許可の難しさでも書いたんですけど、難しいというより長いんですよね。試験自体はちゃんと勉強すれば受かる。でもプロセスが果てしなく長い。
サラリーマン殺しの「平日16時まで」
で、ここからがサラリーマンにとっての本丸。
警察署の窓口、土日休みです。平日16時まで。
…いつ行けと?
猟銃関係の手続きって、警察署に直接行かないといけない場面がめちゃくちゃ多いんですよ。
- 講習会の申し込み → 警察署
- 教習資格認定の申請 → 警察署
- 所持許可の申請 → 警察署
- 銃の確認 → 警察署
毎回、半休か有休を取って行くことになります。
しかも1回で終わらないことも多い。「書類が足りません」「この欄の書き方が違います」って差し戻されて、また後日。また半休。
僕は幸いフレックス勤務だからまだマシですけど、9時-17時で休みが取りにくい仕事の人は相当キツいと思う。
「狩猟やりたいけど手続きで挫折した」って人、実はかなりいるんじゃないかな。
書類、書類、また書類
あと地味にしんどいのが、手続きが全部紙ベースってこと。
令和ですよ? 2026年ですよ?
申請書は手書き。提出は窓口。郵送不可(自治体による)。オンライン申請? そんなものはない。
住民票、身分証明書、診断書、写真、経歴書、同居人の同意書…全部紙で揃えて、全部窓口に持っていく。
マイナンバーカードで何でもできる時代に、なぜ猟銃関係だけ昭和のまま止まっているのか。
いや、理由はわかるんです。銃は危ないから慎重に、って。それはそう。でも「慎重にやる」と「手続きをアナログのまま放置する」は別の話じゃないですか。
誰も悪者がいないのに、制度が機能していない
ここまで愚痴を書いてきて思うんですけど、誰かが悪意を持ってこうしてるわけじゃないんですよね。
都道府県:有害鳥獣が増えて困ってる。ハンターを増やしたい。
やりたい人:やる気はある。手続きも頑張る。
警察:銃の管理は厳格にやらないといけない。慎重に審査する。
全員、自分の立場では正しいことをやってる。
でも結果として、「やりたい人がたどり着けない制度」になってしまっている。
環境省は「ハンターを増やそう」って言ってる。有害鳥獣の被害は年々深刻化してる。でも実際に銃を持つまでのプロセスが、やる気のある人を1年間も足止めする。
しかもその間に何万円もかかる。仕事も休まないといけない。
これ、典型的な「縦割り」の弊害だと思うんです。
鳥獣対策は環境省。銃の管理は警察庁。狩猟者登録は都道府県。それぞれが別々の法律で、別々の窓口で、別々のスケジュールで動いてる。横の連携がない。
ハンターになりたい個人だけが、その全部の間を走り回ることになる。
だから聞きたい
別に「制度を変えろ」とか大きなことを言いたいわけじゃないです。
ただ純粋に聞きたい。
「ハンターを増やしたい」と言いながら、この手続きのままで本当にいいと思ってますか?
診断書が3ヶ月で切れるのに、審査に3ヶ月以上かかる制度。
窓口が平日の日中しか開いていない制度。
全部紙で、全部対面で、全部直列の制度。
やる気がある人ほど、この理不尽さに心が折れる。
僕はたまたま折れずにここまで来たけど、途中で「もういいや」ってなった人、絶対いると思う。そういう人たちが「ハンター不足」の数字に含まれてるんじゃないかな。
少なくとも僕は、次に診断書を取りに行くとき、また同じことを思うと思います。
「…これ、おかしくない?」って。
この記事を書いた人
千葉県在住。狩猟免許(第一種銃猟)取得済み。現在実猟に向けて準備中。免許取得の勉強・試験の実体験をもとに、これから狩猟を始めたい人が迷わないよう情報を発信しています。
※ 本記事は2026年6月時点の筆者の体験に基づいています。手続きの流れや所要期間は都道府県・管轄警察署により異なります。
