「ニホンザルの農業被害がひどい」「猿の駆除はどうやるの?」——この記事では、ニホンザル(Japanese Macaque)の生態・分布・被害状況・駆除の仕組みまで、有害鳥獣としてのニホンザルについて知っておきたい基礎知識をまとめました。
この記事でわかること
- ニホンザルの外見・生態の特徴
- 農業被害の現状と深刻さ
- 分布と被害の多い地域
- 駆除・捕獲の法的枠組み
- 捕獲方法と使用される猟具
注意:ニホンザルは狩猟鳥獣ではありません。一般の狩猟(自由猟)で捕獲することはできず、都道府県の有害鳥獣捕獲許可または指定管理鳥獣捕獲等事業の許可を得た場合のみ捕獲が認められます。
ニホンザルとは? — 姿と基本情報
ニホンザル(学名:Macaca fuscata)は日本固有の霊長類で、ヒトを除けば世界で最も北に生息するサルです。

ニホンザル
外見の特徴
体長47〜60cm(尾は短く約10cm)、体重8〜18kg。全身を灰褐色の毛が覆い、顔と尻は毛がなく赤い皮膚が露出している。この「赤い顔」がニホンザルの最大の外見的特徴。オスはメスより一回り大きく、犬歯が発達する。
足跡の特徴
手のひら状の5本指の足跡で、親指が他の4本と離れて残るのが特徴。前足は手のひら型、後足は人間の足に似た形だが小さい。木の上にいることが多いため、地上の足跡よりも樹上の爪痕や糞で存在を確認することが多い。
生態と行動パターン
雑食性で、果実・木の実・葉・昆虫・キノコなどを食べる。農作物(果樹・野菜・イモ類・水稲)への依存度が高い群れもおり、これが深刻な被害の原因となっている。10〜100頭以上の母系群で行動し、明確な順位制を持つ。群れの行動圏は山林と農地の境界にまたがることが多い。
学習能力が非常に高く、電気柵の弱点を見抜いたり、追い払いのパターンを学習して無視するようになるなど、防除対策が効きにくい厄介な有害鳥獣として知られる。
分布と被害状況
北海道と沖縄を除く本州・四国・九州に広く分布。下北半島(青森県)の個体群は「北限のサル」として天然記念物に指定されている。
農業被害
全国の農業被害額は年間約8〜10億円(環境省発表)。果樹(リンゴ・カキ・ミカン)、野菜、水稲が主な被害対象。被害の深刻な地域は長野県・山梨県・三重県・和歌山県・大分県など。ニホンザルは群れで農地に入るため、一度に大量の作物が被害を受ける。また、収穫直前の高品質な農作物を選んで食べる傾向がある。
有害鳥獣の被害については有害鳥獣被害とは?農作物への影響・駆除の仕組みでも詳しく解説しています。
駆除・捕獲の法的枠組み
ニホンザルは鳥獣保護管理法のもとで保護されており、狩猟鳥獣には指定されていない。そのため自由猟(狩猟期間中に狩猟者登録して捕獲すること)はできない。
捕獲が認められるケース
| 制度 | 概要 | 許可権者 |
|---|---|---|
| 有害鳥獣捕獲許可 | 農業被害等の防止目的で、申請に基づき許可される | 都道府県知事 or 市町村長 |
| 指定管理鳥獣捕獲等事業 | 個体数調整のため都道府県が計画的に実施 | 都道府県 |
許可を受けるには原則として狩猟免許が必要。銃器を使用する場合は第一種銃猟免許と猟銃所持許可が求められる。
ポイント:狩猟免許の取得手順については猟銃免許の取り方を全国版で解説をご覧ください。
| 銃の種類 | 弾・猟具 | 有効射程 | 補足 |
|---|---|---|---|
| わな猟(有害駆除) | 囲いわな・箱罠 | — | ニホンザルは狩猟鳥獣ではなく有害鳥獣駆除の対象 |
| 散弾銃 12番(有害駆除) | スラッグ弾 / 3号〜5号 | 30〜80m | 銃による駆除は市町村の許可が必要 |
チョーク:スラッグ使用時はスラッグチョーク
捕獲方法と猟具
銃器による捕獲
散弾銃(散弾・スラッグ弾)が最も一般的。群れを追い払いつつ許可頭数を捕獲する。体が小さいため散弾(4〜6号)でも十分な威力がある。空気銃も使用可能だが、確実な捕獲には散弾銃が推奨される。
わな猟による捕獲
箱わな(捕獲檻)が主流。果物や穀物をエサに誘引する。ニホンザルは警戒心が強く学習能力が高いため、同じ場所・同じ方法では2回目以降の捕獲が難しくなる。囲いわな(大型の檻)で群れごと捕獲する方法も一部地域で実施されている。
追い払い
捕獲以外の対策として、犬を使った追い払い(モンキードッグ)、ロケット花火、電気柵なども併用される。ただし、追い払いだけでは根本的な解決にならず、個体数管理(捕獲)との組み合わせが重要とされている。
よくある質問
Q. ニホンザルは狩猟で獲れる?
いいえ。ニホンザルは狩猟鳥獣に指定されていないため、一般の狩猟では捕獲できません。都道府県の有害鳥獣捕獲許可を得た場合のみ捕獲が可能です。
Q. ニホンザルの被害を防ぐにはどうすればいい?
電気柵の設置、収穫残渣の除去、モンキードッグの導入などの複合的な対策が有効です。ただし追い払いだけでは限界があり、行政による個体数管理(計画的な捕獲)との組み合わせが推奨されています。
Q. ニホンザルが天然記念物なのに駆除できるの?
天然記念物に指定されているのは下北半島(青森県)の個体群のみです。その他の地域の個体群は天然記念物ではなく、有害鳥獣捕獲許可のもとで捕獲が可能です。
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まとめ
- ニホンザルは狩猟鳥獣ではなく、有害鳥獣捕獲許可が必要
- 農業被害額は年間約8〜10億円で、群れによる被害が深刻
- 捕獲には銃器(散弾銃)または箱わなが使用される
- 学習能力が高く防除が難しいため、捕獲と追い払いの併用が重要
狩猟免許や猟銃所持許可の取得方法については千葉県で狩猟免許を取るには?を参考にしてください。
この記事を書いた人
千葉県在住。狩猟免許(第一種銃猟)取得済み。現在実猟に向けて準備中。免許取得の勉強・試験の実体験をもとに、これから狩猟を始めたい人が迷わないよう情報を発信しています。
※ 本記事の情報は2026年6月時点のものです。有害鳥獣捕獲の許可基準は都道府県・市町村によって異なります。申請前に必ず各自治体の公式情報をご確認ください。

