「キョンが増えすぎて問題になっている」「キョンの駆除はどうやるの?」——この記事では、キョン(Reeves’s Muntjac)の生態・分布・被害状況・駆除の仕組みまで、特定外来生物としてのキョンについて知っておきたい基礎知識をまとめました。
この記事でわかること
- キョンの外見・生態の特徴
- 千葉県・伊豆半島での爆発的な増加
- 農業被害・生態系への影響
- 駆除・捕獲の法的枠組み
- 捕獲方法と使用される猟具
注意:キョンは特定外来生物に指定されており、狩猟鳥獣ではありません。一般の狩猟(自由猟)で捕獲することはできず、都道府県の有害鳥獣捕獲許可または防除計画に基づく捕獲のみ認められます。
キョンとは? — 姿と基本情報
キョン(学名:Muntiacus reevesi)は中国南東部・台湾原産の小型シカ科動物で、日本では特定外来生物に指定されています。

キョン
外見の特徴
体長70〜100cm、体高40〜50cm、体重10〜15kg。ニホンジカの4分の1ほどの大きさで、犬くらいのサイズ感。毛色は赤褐色〜茶褐色で、腹部は白い。オスには短い角(約10cm)と長い犬歯(牙)がある。額にV字型の黒い模様があるのが特徴的。鳴き声は「キョーン」と甲高く、これが名前の由来ともいわれる。
足跡の特徴
偶蹄(2つに割れた蹄)だが、ニホンジカに比べて非常に小さく、長さ3〜4cm程度。シカの幼獣の足跡と間違えやすいが、キョンの蹄はより細長い形をしている。
生態と行動パターン
草食性で、下草・若葉・果実・花・野菜などを食べる。繁殖力が非常に高く、1年に1頭の子を産み、出産直後から次の妊娠が可能。このため年1回のペースで確実に繁殖し、天敵がいない日本では個体数が爆発的に増加している。
基本的に単独行動で、夜行性が強い。身体が小さいため藪や茂みに潜みやすく、発見・捕獲が困難。ニホンジカのように群れで行動しないため、一度に大量捕獲するのが難しいのも特徴。
分布と被害状況
元々は動物園や観光施設から逃げ出した個体が野生化したもので、現在は主に千葉県と東京都(伊豆大島)、静岡県(伊豆半島)で定着・拡大している。
千葉県の状況
千葉県では推定個体数が約7万頭以上(2023年時点)に達し、勝浦市・鴨川市・いすみ市など房総半島南部を中心に県内全域に分布域が拡大中。年間捕獲数は約4万頭だが、繁殖速度が捕獲を上回っている状態。
農業被害・生態系への影響
農作物(水稲の苗・野菜・花卉)への食害が深刻。また、森林の下草を食べ尽くすことで在来植物の衰退や土壌流出の原因にもなっている。住宅地への侵入、家庭菜園の被害、マダニの媒介なども問題視されている。
有害鳥獣の被害全般については有害鳥獣被害とは?農作物への影響・駆除の仕組みでも解説しています。
駆除・捕獲の法的枠組み
キョンは外来生物法に基づく特定外来生物に指定されており、飼養・運搬・放出が禁止されている。同時に鳥獣保護管理法の対象でもあるが、狩猟鳥獣には指定されていない。
捕獲が認められるケース
| 制度 | 概要 |
|---|---|
| 有害鳥獣捕獲許可 | 農業被害等の防止目的で都道府県知事または市町村長が許可 |
| 外来生物法に基づく防除 | 国や自治体が策定する防除計画に基づき、認定捕獲従事者が実施 |
千葉県では猟友会員や認定鳥獣捕獲等事業者が自治体の委託を受けて駆除活動を実施している。捕獲に従事するには狩猟免許が必要。
ポイント:狩猟免許の取得手順については千葉県で狩猟免許を取るには?で詳しく解説しています。千葉県はキョン駆除の担い手が慢性的に不足しており、新規ハンターの参入が求められています。
| 銃の種類 | 弾・猟具 | 有効射程 | 補足 |
|---|---|---|---|
| わな猟(主流) | くくり罠・箱罠 | — | 千葉県を中心に有害鳥獣として指定。わな猟が主力 |
| 散弾銃 12番/20番 | スラッグ弾 / 3号〜5号 | 30〜60m | 小型のシカ科なのでスラッグ不要の場合も |
チョーク:改良シリンダー〜モディファイドチョーク
捕獲方法と猟具
わな猟(主流)
くくりわな・箱わなが最も多用される。キョンは体が小さいため、シカ用のくくりわなでは空振りが多い。キョン用に調整した小型のくくりわな(ワイヤー径・高さの調整)が有効。箱わなでは果物やサツマイモをエサに使う。
銃器による捕獲
散弾銃(散弾5〜7.5号)が使用される。体が小さく動きが素早いため、スラッグ弾より散弾の方が命中率が高い。夜行性が強いため日中の遭遇率は低く、犬を使った巻き狩り(犬追い)も行われる。空気銃でも捕獲可能なサイズ。
捕獲の課題
キョンは単独行動・夜行性・小型・藪に潜むという特性から、ニホンジカやイノシシに比べて捕獲効率が非常に悪い。捕獲従事者の高齢化・人手不足も深刻で、現在の捕獲ペースでは個体数の増加を止められない状況が続いている。
よくある質問
Q. キョンは狩猟で獲れる?
いいえ。キョンは特定外来生物に指定されていますが、狩猟鳥獣ではありません。有害鳥獣捕獲許可または外来生物法の防除計画に基づく許可が必要です。
Q. キョンの肉は食べられる?
食べられます。味は鹿肉に近く、脂が少なくあっさりした赤身肉です。千葉県の一部地域ではジビエとして活用する取り組みも始まっています。ただし、寄生虫リスクがあるため十分な加熱が必要です。
Q. キョンはなぜ千葉県に多いの?
1970年代に勝浦市の観光施設「行川アイランド」から逃げ出した個体が野生化したのが始まりとされています。温暖な気候・天敵の少なさ・食料の豊富さにより爆発的に増殖し、現在は県内全域に拡大しています。
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まとめ
- キョンは特定外来生物で、狩猟鳥獣ではない(有害鳥獣捕獲許可が必要)
- 千葉県では推定7万頭以上が生息し、個体数は増加の一途
- 捕獲にはくくりわな・箱わな・散弾銃が使用される
- 捕獲従事者の不足が深刻で、新規ハンターの参入が求められている
狩猟免許の取得方法については猟銃免許の取り方を全国版で解説を参考にしてください。
この記事を書いた人
千葉県在住。狩猟免許(第一種銃猟)取得済み。現在実猟に向けて準備中。免許取得の勉強・試験の実体験をもとに、これから狩猟を始めたい人が迷わないよう情報を発信しています。
※ 本記事の情報は2026年6月時点のものです。特定外来生物の防除や有害鳥獣捕獲の制度は自治体によって異なります。最新情報は各都道府県の公式サイトをご確認ください。

